HEAVEN ROAD

「なんでそんなこと聞くの?」



目を瞑ったままの豐。



「俺、親父のあーいう姿に腹立って家出たんだ」



「うん」



独り言のように話を続ける。



「昔はあれでもこの辺じゃ儲かってた整備屋だったんだ。でも、親父は下請けだから大元の会社に左右される」



「うん」



言っている意味はよくわからなかったけど、話を中断させないほうがいいと思ったあたしは、相づちをうっておいた。



「で、上の会社が変わったんだよ。その途端に今日みたくペコペコしやがった。それまでは頑固で有名だったくらいなのによ」



「うん」



「あんなの親父じゃねぇんだよ!!」



豐の声が大きくなる。



「豐のお父さんには変わりはない」



この言葉は豐に言ったんではなく、自分自身に言い聞かせた言葉だったかもしれない。



ママはどんなママでも、あたしのママに変わりはないと……
< 285 / 877 >

この作品をシェア

pagetop