HEAVEN ROAD
「なんでそんなこと聞くの?」
目を瞑ったままの豐。
「俺、親父のあーいう姿に腹立って家出たんだ」
「うん」
独り言のように話を続ける。
「昔はあれでもこの辺じゃ儲かってた整備屋だったんだ。でも、親父は下請けだから大元の会社に左右される」
「うん」
言っている意味はよくわからなかったけど、話を中断させないほうがいいと思ったあたしは、相づちをうっておいた。
「で、上の会社が変わったんだよ。その途端に今日みたくペコペコしやがった。それまでは頑固で有名だったくらいなのによ」
「うん」
「あんなの親父じゃねぇんだよ!!」
豐の声が大きくなる。
「豐のお父さんには変わりはない」
この言葉は豐に言ったんではなく、自分自身に言い聞かせた言葉だったかもしれない。
ママはどんなママでも、あたしのママに変わりはないと……