HEAVEN ROAD

あたしは豊に再び抱えられ、ソファーへと座った。



「何で吐かねぇんだよ」



不機嫌な豊に満足のいく答えは言ってあげられない。



「…………」



「黙ってたってわかんねぇだろ?」



言えないんだ。



言ったらきっと離れてく。



みんなあたしを白い目で見る。



だから、これだけは言えない。



「おい、カナ」



床を見つめていたあたしの顎を持ち、顔を持ち上げられる。



真っ直ぐにあたしの目を見つめる豊の視線が痛い。



「あ、あたし……帰らなきゃ」



あたしは豊を力ずくで振り払い逃げるように外へと出た。



ありったけの力で地面を蹴り上げる。
< 296 / 877 >

この作品をシェア

pagetop