HEAVEN ROAD
あたしは豊に再び抱えられ、ソファーへと座った。
「何で吐かねぇんだよ」
不機嫌な豊に満足のいく答えは言ってあげられない。
「…………」
「黙ってたってわかんねぇだろ?」
言えないんだ。
言ったらきっと離れてく。
みんなあたしを白い目で見る。
だから、これだけは言えない。
「おい、カナ」
床を見つめていたあたしの顎を持ち、顔を持ち上げられる。
真っ直ぐにあたしの目を見つめる豊の視線が痛い。
「あ、あたし……帰らなきゃ」
あたしは豊を力ずくで振り払い逃げるように外へと出た。
ありったけの力で地面を蹴り上げる。