HEAVEN ROAD
仲裁に入ってくれた男の顔を拝みたくて、振り返りたいんだけどさぁ。
髪を持たれてるから首が後ろに回らない。
「翔先輩……」
さっきまで顔を歪め、怒鳴っていた女達の顔が青ざめて行く。
「今日は入学式だし、その子新入生でしょ?」
「だからですよ。こんな髪の色して入学早々なめてる……」
段々と小さくなる女の声に、どうしても後ろにいる奴が気になった。
「俺がやめろって言ってるのが聞こえねぇのか?」
とんでもなく低く、腹に響くような声にあたしは一瞬身震いをした。