HEAVEN ROAD
あたしの手をとったまま、微笑む翔の横を不機嫌な豊が通り過ぎる。



「さっさと歩け」と憎たらしいことを言いながら。



それより危害って何?!



この歓声も何?!



豊と翔に向けられたものだとはわかっているけど……



凄い人気。



確かに二人とも綺麗な顔立ちだったような気もするけど……



翔に引きずられるように歩きながら、視線をふと騒ぐ女達に向けると、女達の視線はいつの間にか翔と豊から私へと移されていた。



睨まれてるよ、あたし。




鬼のような形相でこちらを睨む女達。



豊の睨みと五分五分の戦いが出来そうな視線の中、あたしは無事に校内へと入ることが出来た。



「どこ行くの?」



靴を履き変えると、階段をどんどん上がって行く。



あたしの手はまだ翔に繋がれたまま。



「屋上」



「屋上?!」

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