HEAVEN ROAD
「顔が見たかっただけだから。じゃあな」
そう言うと豊はあたしに背を向けた。
「待って!!」
きっと豊はずっとここで待っていてくれたんだ。
日が落ちたばかりで、まだ気温はそこまで下がっていないのに、豊の手は冷たかった。
体も冷えきってるはず……
「どした?」
首だけをこちらに向ける豊のことがどうしようもなく気になる。
あたしのために、どうしてこんなことをしてくれるのか……
胸の奥が苦しいよ。
「上がっていかない?寒かっただろ……」
断られることが怖くて段々と小さくなる声。
「いいのか?」
豊の言葉に急に嬉しさが込み上げる。