HEAVEN ROAD
「豊、あのね……」



「ん?」



あたしが何か話そうとしているのを察してくれたのか、いつもより優しい声で相づちをうってくれる。



「あたし……凍死しそうになったことがあって。だから、怖くて寒くないかとか気になるのかも」



「そうか」



コーヒーが入っているカップをテーブルの上に置き、あたしのほうを真っすぐに見つめる豊。



「あ、あと……吐きたくないのは……」



どうしよう。



声が震える。



「もういい」



「えっ?」



ふわっとあたしの頭に豊の手が触れた。
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