HEAVEN ROAD
居間のドアに手をかけて……



「祐樹、あの事を……」



あたしは突然不安になった。



祐樹の口からあたしの過去を豊に話してしまうんじゃないかと思って。



祐樹はその言葉だけであたしが不安に思っている事を察したらしく「その事じゃないから安心しろ」と少しだけいつもの祐樹の口調に戻っていた。



「わかった」



あたしは再び前を向き、自分の部屋へと入る。



祐樹はあー言ってたけど、やっぱり不安でたまらない。



何もかも話されてしまったら、豊はあたしに今までどおりには接してくれないだろう。



それが無性に悲しい。



恋かどうかはわからないけど、あたしは豊と今までのようにしていたい。



このとき初めてそう自覚した。
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