HEAVEN ROAD
豊はあたしと言い合いをした後、すぐに帰っていった。



もう一度きちんとお礼言いたかったな。



でも、祐樹の前では言えずに豊が閉めた玄関のドアをボーッと眺めていた。



「飯食ったのか?」



祐樹の声に振り向くと、祐樹はコートに袖を通していた。



「食べてない」



「じゃあ行くぞ」



「どこに?」



「飯食いに」



祐樹と外食したことなんてない。



それにこの辺にそんな店なんかあっただろうか?



「置いてくぞ」



「待って」



あたしは部屋に転がっていたジャンバーを持ち、祐樹の後を追い掛けた。
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