HEAVEN ROAD

豊の家の前に着くと明かりはついていなかった。



ドアノブを回しても、鍵はかかっている。



「はぁ、出かけてるのか……」



何だか一気に力が抜け、あたしはドアにもたれ掛かりながら地面に腰をおろした。



こんな風に外でじっとしていると色々な音が聞こえるんだな。



どこかの家から聞こえる楽しそうな声。



道路を走る車の音。



風が吹くたびにざわめきあう草の音。



こうして、色んな音が耳に付くのは一人でいるから。



そう。



あの頃だって一日中色んな音を聞くことしかすることがなかった。



日中は暖かかったから薄着で外にいたけど、さすがにその格好じゃ寒くなってきた。



あたし……



何やってんだ?
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