HEAVEN ROAD
「いいってよ」
電話を切り終えた豊は後ろから、あたしの体を包み込むように座った。
「そう」
なんて答えればいいかなんてわからないし、距離が近すぎる。
顔が見えない位置にいてくれるのが、唯一もの救いだ。
「お前、私服持って来いって言ったのに……持ってきてねぇから今日は俺のジャージ着ろよ」
「あーうん」
やっぱり泊まっていくんだ。
「明日取りに行くぞ」
「はっ?」
あたしは今日だけだと思っていたのに、そうではない予感がする。
勢いよく豊のほうへと振り返った。
「俺といるのがそんなに嫌かよ?!」
豊は低い声を出し、眉間にシワを寄せる。