HEAVEN ROAD
あたしはイチゴジャムを塗り、パンを口に運ぶ。
そして、牛乳で流し込んだ。
「涙が出るほどおいしいの?」
翔は不思議そうな顔をして、あたしの顔を覗きこんでくる。
おいしいよ。
だって、これはママの味だもん。
あまり料理のしないママが唯一毎日作ってくれたご飯。
あたしの大好きなイチゴジャムを欠かさず買って来てくれていることが嬉しかった。
冷蔵庫を開けるたびにあたしを想ってくれているんだと感じていた。
イチゴジャムが冷蔵庫から消えたのはいつだっただろう。
久しぶりに食べたその味は甘塩っぱかった。