HEAVEN ROAD

「そう言えばカナちんって祐樹さんの妹なんだってね」



一口一口噛み締めながら食べているのに、隣の翔が五月蝿い。



「あーうん。翔も知ってるんだ」



あたしは適当に返事をする。



「知ってるも何も祐樹さんは……」



「食ったなら行くぞ」



翔の言葉を遮った豊は、あたしが食べ終えたお皿を片付けて、スカジャンを羽織った。



「どこに?」



「あっ、そろそろ時間だね」



「遅刻する」



あたしの話は無視かい。



「出かけるなら着替える」



「さっさとしろ」



あたしは口の中にほんのりと残る甘いかおりを楽しみながら、ジーンズに足を通した。
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