HEAVEN ROAD
豊達目当てじゃなかったとしても、必要以上に誰かと関わりたくはない。
特に女とは……
どうせ仲良くしたって、その関係は簡単には壊れてしまうんだから。
「カナって呼んでいい?」
それなのに、何故かこの女を無視することができない。
綺麗に笑うその表情のせいか、すっかりと女のペースにのせられている。
「うん」
「宜しくね」
あたしの前にスッと差し出される明美の手。
ゆっくりとその手を握るとニコッと可愛い顔をする明美。
「屋上行こう」
「いいよ」
あたしは自分でも何を思ってした行動かはわからないけど、ただ明美の真っ赤な髪を眺めながら、ボーっと明美の後を着いて行った。
人のこと言えないけど、派手な髪の色だな。
コイツは目付けられてないのかな?
ここに出入りしてる奴の彼女だから大丈夫なのか。
「おいっ!!馬鹿女」
屋上に着くなり、豊の声が耳に届く。
「はっ?」
反射的に声のするほうを見ると豊がこちらを睨んでいる。