HEAVEN ROAD

豊達目当てじゃなかったとしても、必要以上に誰かと関わりたくはない。



特に女とは……



どうせ仲良くしたって、その関係は簡単には壊れてしまうんだから。



「カナって呼んでいい?」



それなのに、何故かこの女を無視することができない。



綺麗に笑うその表情のせいか、すっかりと女のペースにのせられている。



「うん」




「宜しくね」




あたしの前にスッと差し出される明美の手。



ゆっくりとその手を握るとニコッと可愛い顔をする明美。



「屋上行こう」



「いいよ」



あたしは自分でも何を思ってした行動かはわからないけど、ただ明美の真っ赤な髪を眺めながら、ボーっと明美の後を着いて行った。



人のこと言えないけど、派手な髪の色だな。



コイツは目付けられてないのかな?



ここに出入りしてる奴の彼女だから大丈夫なのか。



「おいっ!!馬鹿女」



屋上に着くなり、豊の声が耳に届く。



「はっ?」



反射的に声のするほうを見ると豊がこちらを睨んでいる。


< 38 / 877 >

この作品をシェア

pagetop