HEAVEN ROAD
「一志さん、あんまりいじめないで下さいよ」



そう言ってあたしの頭に手を乗せたのは豊だった。



「いじめてなんかねぇよ。俺はダチの弁護をしてただけだ」



「コイツはゆっくりと理解していけばいいから」



「そうだな。でも、祐樹は人に感情を伝えるのが下手すぎて見てるこっちがもどかしくなってよ。余計なこと言ったならごめんねカナちゃん」



あたしは首を横へふった。



あたしにとっては余計なことではなかった。



一志さんの言葉をそうですかとすぐには受け入れられないけど、祐樹の気持ちが聞けてよかった。



祐樹に恨まれていない事を知って安心した。



本当は恨まれているかもしれないと思っている人と一緒に暮らしているのは怖かったから。



人に恨みをかってしまうような自分が嫌いだったから。
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