HEAVEN ROAD
明美が気に食わなかったのか、あたしの発言に苛ついたのかはわからないけど、豊の手が私達に向かって伸びてきた。



殴るまでいかなくても、殺気だった豊の表情にあたしは身構える。



その時、豊のその手を誰かが掴んだ。



「わりぃ。俺の女」



「秀ちゃん!!」



明美はソファーから立ち上がり、現われた男の腕にしがみ付く。



男の言葉に豊はフッと体の力を抜き、去っていった。



「秀ちゃん。怖かったぁ」



「豊に気安く話しかけるなって言ってるだろ?」



「だってぇ。豊先輩が話しかけてくるからぁ」



なんだよ、目障りだ。



いちゃつくんなら他所でしてくれ。



「この子は?」



明美の腰に手を回し肩に顔を埋めた男と目が合ってしまった。



「カナだよ」



さっと男から離れた明美はあたしの横に座り、腕を絡めてくる。



「あー。君がカナちゃんか。初めまして。明美の彼氏の秀平です」



「どもっ」

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