HEAVEN ROAD
ベージュの毛布に包まると保健室の匂いがする。
ん?
保健室から勝手に毛布なんて持ち出していいの?
後で怒られたりしないか?
あたしが持って来たわけじゃないからいいか。
怒られるのは持ち出した豊だもんな。
朦朧とする意識のなか、毛布の温かさと豊の優しさを感じながら、あたしは夢の中へと吸い込まれていった。
「カーナちん!!おーい!!」
もう起きている。
でも、目を開けたくないんだよな。
豊にせっかく毛布を持ってきてもらったけど、やっぱり教室のほうがゆっくり寝れたかも。
ここはうるさい奴らが多すぎる。
「ねぇ、カナちん起きてよ」
体をしつこく揺すられ、最初のうちは寝たふりをしてたんだけど、いい加減翔のしつこさにはお手上げだ。
「うるせぇな」
あたしは体を勢いよく起き上がらせる。
「あっ!!起きた!!」
「さっきから起きてたし。で、なんだよ?」
「別に用はないよ」
ニコニコと笑いながらあたしが起き上がってできたスペースに腰掛ける翔。