HEAVEN ROAD
あたしは豊の彼女で、豊はあたしの彼氏。



付き合ってるんだから、彼氏彼女と言われても当然なんだけど……



言葉にされると堪らなく恥ずかしい。



「豊はめんどくさいこと嫌いなのにカナちんのためには一生懸命なんだよね。今だって三年に呼ばれてるみたいだし」




豊ごめん。



豊だけゆっくり寝てるなんてとか思ったあたしが馬鹿だ。



あたしが寝ている間に、豊が下げたくもない頭を誰かに下げているのかと思うと胸の辺りが苦しくなる。



「えっ?カナちん?」



「豊に先帰ってるって伝えておいて」



あたしは考えるより先に走り出していた。



豊があたしのせいで嫌なことをしてくれてるのに、本人のあたしがあぐらをかいてなんかいられない。

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