HEAVEN ROAD

おばさんが選んでくれた黒染を握りしめ豊の家へと走る。



豊にもらった合鍵で中へと入り、その場で制服を脱いだ。



箱の中に入っていた説明書通りの手順で慎重に手を進めていく。



これで15分待てばよしと。



カチカチと一定のリズムを刻む時計を見ていると、興奮気味だった頭の中が少しずつ冷静さを取り戻していく。



あのおばさん、緑になるとか言ってたけど、金と緑じゃあんまり変わらないような気もしてきた。



大丈夫かな?



15分後、勢い良くシャワーを頭からかぶると、足元を流れる水は真っ黒に染められている。



「おい!!勝手に帰って来て、何シャワーなんて浴びてんだよ!!」



二度目のシャンプーを頭に付けたとき、機嫌が悪そうな豊の声が聞こえてきた。



「今あがる」



あたしは念入りに髪を洗い、肩にタオルをかけたまま居間へと行った。



「お前はなんで……って……」



豊はあたしの姿を見てポカーンと口を開けている。



「勝手に帰ったのは悪かったよ。思い立ったからすぐに染めたくて」



あたしはサイドに垂れている髪を掴んで色を確認する。



「緑に見えるか?」



まだ濡れているせいか、緑って感じではない。
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