HEAVEN ROAD
ここにじっとしていても朝がきてしまうような気がして、あたしは立ち上がった。



走ってきた記憶を辿りながら歩くしかない。



運良く知ってる場所に出るかもしれないし……



橋から一歩踏み出したとき……



「カナ!!」



遠くからあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。



どこ?



あたしは声のするほうを探すけど、暗やみに包まれた夜は視界が悪い。



「カナ」



あたしの前で急ブレーキをかけた車の窓から祐樹が顔を出している。



「祐樹……」



「どこ行くつもりだったんだよ?」



「あんまり遅いから……」



運転席から外へ出てきた一志さんは「中で話そう」と後部座席のドアを開けてくれる。



「ありがとうございます」



あたしは暖かな車の中へと乗り込んだ。

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