HEAVEN ROAD
「起きたなら、さっさと帰るぞ」



祐樹の一言にあたしはハッと我に返る。



そうだった……



あたしは迷子になって、祐樹と一志さんに迎えに来てもらったんだ。



「一志さん、有り難うございました」



あたしの言葉に一志さんは振り返り「いつでも頼ってね」と笑顔を向けてくれる。



あたしはもう一度頭を下げて車を降りた。



祐樹の「じゃあ」という言葉に一志さんは窓から手だけを出し、走り去っていった。



あたし……



最近、人に迷惑かけてばかりだな。



車が見えなくなった道路をボーッと見つめていると「冷えるからさっさと来い」とあたしの頭をポンと叩いた祐樹は階段を駆け上がっていく。

< 441 / 877 >

この作品をシェア

pagetop