HEAVEN ROAD
あたしの手は豊の笑顔と同時に引き離された。



こんな時にだけ笑顔なんて見せるんじゃねぇよ。



「カナさん」



「は、はい」



振り向いた大輔さんの顔にも緊張が走る。



「ここで一人で待ってられますか?連絡いれてきたいんで」



そうだよな。



応援呼ばなきゃいけないもんな。



「大丈夫です」



震える手を思い切り握りしめ、あたしは真っ直ぐに大輔さんを見つめた。



「さすがですね。5分で戻ります。何があっても外に出ないで下さいよ」



そう言った大輔さんは車を校門から少し離したところに止めて、外へと走りだした。



車から見える所にある公衆電話で何度も受話器をあげたり切ったりを繰り返す。



グランドは……



騒ぎがさっきよりも大きくなっている。



どこからかわからないけれど煙が上がっているし、奇声をあげている奴もいる。
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