HEAVEN ROAD
街中にある大きな国立病院が目に入るだけで、何故だか手の平に汗が……
「すぐ戻る」
「駐車場入れてから行きます」
「わかった」
大輔さんも有田の様子知りたいんだ。
いつもなら車で待ってるはずなのに。
どんどんと前へ進んでいってしまう豊の後をあたしは小走りで追いかける。
受付のお姉さんと何かを話し終えた豊は方向を変え、階段を上る。
あたしがいること気付いている?
一人で勝手に動き回っている豊を見ていると、またあたしの存在を忘れられてるんじゃないかって不安がおそう。
「痛ってぇ~」
豊が急に止まるから、あたしは豊の背中に激突してしまった。
「急に止まるなよ」
「悪りぃ」
そういった豊はあたしの隣に並び、顔を摩っていないほうのあたしの手を取った。
「行くか」
「う、うん……」
豊って本当にテレパシーが通じるの?
握られた豊の手はあたしと同じように少し汗ばんでいる。
それが、同じ気持ちだと言ってくれているみたいで嬉しかった。