HEAVEN ROAD
有田の病室を探しながら廊下を歩いていると、廊下に置いてあるソファーに昨日の女の人が座っていた。



「豊、あれ」



「あぁ」



女の人はあたし達の存在に気付くとこちらを睨みつける。



「貴方達一体何なの?朝から入れ替わり何人よこすのよ。嫌がらせのつもり?」



「えっ?」



あたしにはこの女の人が何を言っているのか、何に怒っているのかよくわからない。



「来た人たちにも言ってるけど、もうこれ以上あの人に関わらないで」



あたし達より前に誰かがここに来たのかな?



女の人のニュアンスでは一人や二人じゃなさそうだ。



「一目だけでも会わせて貰えませんか?」



豊がゆっくりと女の人に話しかける。



「私が言ったこと聞こえていなかった?あの人にはもう関わらないで!!誰のせいでこうなったと思ってるの?あの人はもう一生車椅子なのよ!!」



泣き叫ぶように言われた言葉に頭の中は真っ白になる。



「車椅子?」



膝がガクガクと震えだす。



「貴方達のせいよ!!そんな頭して、好き勝手やってる子達が真面目に生きてきた人の人生を奪う権利なんてないわ。どうしてあの人が……」



女の人は豊の髪を指差しながらそう言うと泣き崩れてしまった。



「ごめんなさい」



あたしは小さな声で何度もそう呟く。



女の人の言うとおりあたしのせいなの。



あたしが有田の足を奪った。

< 483 / 877 >

この作品をシェア

pagetop