HEAVEN ROAD
“すぐに行く”って言ったのに、豊は一時間たっても、二時間たっても帰ってこなくて、あっという間に昼になっていた。



「カナちんは豊待ちだよね?」



「腹減ったぁ~」



「俺も一緒に待っててあげるよ」



あたしのお弁当は豊が持っているから、あたしはソファーの上に転がりながら豊を待った。



「先に買ってこいよ」



「でも、カナちん淋しくない?」



「淋しくないねぇから」



そう言ったのに翔は購買に行く気配を見せない。



今はそんな翔の存在が少し有り難かったりする。



グゥゥ~と腹の虫までもが豊を呼んでいる。



お腹がすいたのを紛らわすために、あたしはゆっくりと目を閉じた。



瞼の裏に焼きついている女の姿。



もしかしたらあの女は豊が振られた彼女かもしれない。



なんの根拠もないけれど、何だかそんな風に感じていた。



「カナさん、カナさん」



あたし夢見てる?



ここは屋上なのに大輔さんの声が聞こえる。



「カナちん起きて」



翔に体を揺すられ目を開くと、そこには大輔さんが……夢じゃない?



でもなんで?

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