HEAVEN ROAD
車はアパートの前に止まり「着きました」といつものように大輔さんが声をかけてくれる。



今日は病院にも連れて行ってもらったから丁寧お礼を言って車から降りた。



階段をゆっくりとのぼり、ドアに手をかけたけど開かない。



チャイムを鳴らしても反応なし。



「マジかよ……」



あたしはドアにもたれかかったまま腰をおろした。



大輔さんの車はもう見えないし、ここで待つしかない?



祐樹の馬鹿は何やってんだよ。



本当に豊は祐樹に連絡したのか?



1人で出歩くなとかいいながら、1人にするなよな。



家にも入れず、ウロウロとするわけにもいかないあたしは段々と寂しくなってきた。



あたし、何してるんだろう……



体育座りをしながら、豊のことばかりを考えていると次第に目蓋が重くなる。



もう外は真っ暗で、いつになったら帰ってくるのかわからない祐樹を待っているのは辛い。



体は段々とダルくなってくるし、7月だというのに寒く感じる。



自分の体を抱き締めるように、小さく縮まった所であたしの記憶はぷっつりと途絶えてしまった。


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