HEAVEN ROAD

あたしは振り返り大輔さんへと歩み寄る。


「これ!!豊さん家の鍵です」



「ありがとう」



「いいえ」



大輔さんは優しく微笑み、車へと戻っていった。



あたしはもう一度前を向きなおし、豊のアパートへと進む。



鍵を開けて中へ入ると、豊の匂いがあたしの体を包み込む。



ホッとする。



豊の匂いを感じるだけであたしの心は温かくなる。



玄関から見える豊の部屋は散らかっている。



脱ぎ捨てられたままのジャージに、酒の空き缶が至る所に散乱していた。



そして、ハンガーに掛けられている特攻服。



集会があったのかな?



あたしは空き缶を拾いながら中へと進む。



この缶の量はみんなが来てたんだな。



集会の後、みんなが集まってどんちゃん騒ぎをしている光景が目に浮かぶ。

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