HEAVEN ROAD
頭の中では葛藤を繰り返しているのに、あたしの瞳は一度捕えたその文字を読み続けていた。



“豊へ

お誕生日おめでとう。

昔、欲しがってしたネックレスです。

今はもういらないかな?でも私の気持ちだから、受け取って。”



ここまで読んだあたしは部屋にあるカレンダーを見る。



「嘘……豊の、誕生日。昨日だ」



豊の部屋のカレンダーには7月14日に“誕生日暴走”と書かれている。



あたしは豊に「おめでとう」すら言っていない。



誕生日プレゼントも買ってすらいない。



それより何より忘れていた。



あたし……彼女なのに。



前の女はプレゼントあげたのに、あたしは何も。



悔しいのかなんなのか、あたしの瞳からは涙が流れだす。


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