HEAVEN ROAD
「千ちゃーんお疲れ様!!」



部活が終わって、あたし達のほうに歩いてくる宗と千を見つけると萌は毎回この反応。



頭の上で大きく手を振り千の名前を呼ぶ。



そんな萌を愛おしそうに見つめる千。



二人を見ているだけであたしの心も優しくなれる気がしていた。



「今日もカナは巻き込まれたわけね」



苦笑いであたしの前に立つ宗は顔中泥まみれ。



いつの間にかカナちゃんからカナって呼ぶようになった宗に親近感が沸く。



「じゃあ帰るかな」



帰る方向が一人だけ違うあたしはいつもここでサヨナラをする。



「待って」



でも、この日は歩き始めたあたしを宗が引きとめた。



「今日何か用事あんの？」



どこかぎこちない宗の言葉。



「ないよ。毎日暇」



あたしの言葉にパーッと広がる笑顔。



あたしは宗、千、萌の笑顔が大好きだった。



ここに居ていいんだよと笑顔を見るたびに言われてる気がして……



すごく落ち着く。



ゆっくりとした時があたしの中を流れていくこの感じがたまらなく好きだった。

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