HEAVEN ROAD
あの後、宗に誘われ、今あたしは宗の部屋に座っている。



整えられた部屋の中は落ち着かなくて、制服の裾を指でいじっていた。



「千と萌は着替えてから来るから」



「あぁ」



お風呂に入ってきた宗が肩からバスタオルをかけ、ジュースを手にし部屋の中へと入って来た。



「緊張してる?」



茶化すようにあたしの顔を覗き込む宗。



「してねーよ」



あたしの言葉を聞いてクスクスと笑い出す。



「なんだよ?」



あたしは宗を睨み付けた。



「カナの喋り方や睨み方は豊先輩とそっくりだね」



ズキン



胸の辺りに衝撃を受けたみたいな痛さが走る。



宗の口から“豊”の名前が出てくるなんて思ってもいなかった。



「もともとそんな喋り方じゃないんでしょ?」



宗はベッドに腰掛けながら、手にしていたジュースを口に含む。



あたしは答えることができない。



宗の言うとおりだったから。



元々、言葉遣いが悪かったわけじゃない。



髪を金色に染めたあの日、あたしは生まれ変わった。



だから、言葉遣いもあえて汚くしたんだ。



慣れない言葉を選びながら話していたあの頃……



でも、今は意識などしていない。



いつの頃からかこれが当たり前になっていて、頭で考えなくてもこういう言葉遣いになっていた。
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