HEAVEN ROAD
「カナちゃんも部活待ち?」



毎日、千の帰りを待つ萌があたしの隣に座る。



教室に居るのはあたしと萌だけ。



「話があるって言われて待ってる」



「そっか。なんか今日はいつもより暗い気がするけど?」



「そうか?」



「何かあった?」



あったといえばあったけど、豊に会ったからだなんて萌には言えない。



「特に思いつかないけど」



「そっか」



いつもはベラベラと千の話をする萌が今日に限って大人しい。



「カナちゃんは宗の彼女だよね?」



「えっ?あーうん」



突然、何を言うのかと思えば……そんなこと聞かなくたってわかっているはずなのに。



「宗とこれからも一緒にいたいと思ってるよね?」



「うん」



「宗のこと誰よりも大切?」



「……うん」



誰よりも?



そこに少し引っかかったけど、今は一番大切にいたいと思っている。



「宗のこと好き?」



「…………」



好きだと思う。



いや、好きだ。



あたしは宗のこと好きだから大切にしたいと思ってる。



「うん」って言えばいいだけなのに、返事が中々できない。
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