HEAVEN ROAD
「ただいま~」
家に帰ってくると宗は必ずこう言った。
返事は返ってこないってわかっているのに…
宗の両親は共働きで家にはいつも宗一人。
何度も遊びに来たことがあるけど、あたしは一度も両親に会ったことがない。
「俺、風呂入ってくるから部屋行ってて」
「わかった」
部活終わりに遊ぶことの多いあたし達はいつもの通りに会話をする。
宗の部屋に入り、腰をおろしてベッドにもたれ掛かった。
ここがあたしの定位置。
宗は後10分位したら、バスタオルを肩にかけ、部屋へと入ってくる。
そして、ベッドに腰掛ける。
はずなのに……
今日はあたしの隣に腰をおろした。
「黙っててごめんな」
「えっ?」
「翔のこと隠してて」
「別にそんなことなんとも思ってない」
あたしの手を握りながら再び話し出す宗。
「敢えて隠したんだ。カナに豊先輩を思い出させるようなこと言いたくなくて。だからごめん」
「ホントに気にしてない」
「ありがとう」
宗は珍しく笑わない。
悲しそうな目であたしを見つめる。
「カナ。俺のこと好き?」
「うん」
わからないなんて答えたら、この手が離れてしまいそうであたしは「うん」と答えた。
でも、宗にはわかっていたのかもしれない。
あたしのそんな卑怯な考えが。
家に帰ってくると宗は必ずこう言った。
返事は返ってこないってわかっているのに…
宗の両親は共働きで家にはいつも宗一人。
何度も遊びに来たことがあるけど、あたしは一度も両親に会ったことがない。
「俺、風呂入ってくるから部屋行ってて」
「わかった」
部活終わりに遊ぶことの多いあたし達はいつもの通りに会話をする。
宗の部屋に入り、腰をおろしてベッドにもたれ掛かった。
ここがあたしの定位置。
宗は後10分位したら、バスタオルを肩にかけ、部屋へと入ってくる。
そして、ベッドに腰掛ける。
はずなのに……
今日はあたしの隣に腰をおろした。
「黙っててごめんな」
「えっ?」
「翔のこと隠してて」
「別にそんなことなんとも思ってない」
あたしの手を握りながら再び話し出す宗。
「敢えて隠したんだ。カナに豊先輩を思い出させるようなこと言いたくなくて。だからごめん」
「ホントに気にしてない」
「ありがとう」
宗は珍しく笑わない。
悲しそうな目であたしを見つめる。
「カナ。俺のこと好き?」
「うん」
わからないなんて答えたら、この手が離れてしまいそうであたしは「うん」と答えた。
でも、宗にはわかっていたのかもしれない。
あたしのそんな卑怯な考えが。