HEAVEN ROAD
ゆっくりと宗の顔が近づき、あたしの唇に触れた。



こんな時に限って翔の顔を思い出してしまう。



「カナ?嫌だった?」



「えっ?嫌じゃないよ」



体を離した宗が心配そうにあたしの顔を覗き込む。



「でも、怒ったような顔してるけど……」



「あー入学したての頃、翔に突然されたの思い出した」



「はっ?マジで?なんで翔?」



あたしの手を握っていた宗の手が離され、その手はあたしの腕を両手で掴んだ。



「翔の考えてることはわかんない。でも、一回だけされた。それが頭にきてたから今もそういう顔したのかも」



「ちくしょう。アイツ……」



「でも、昔のことだし……翔のことなんてなんとも思ってないから……」



あたしの言葉に笑顔を見せてくれる宗。



これだ。



あたしはこの顔が見たかった。

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