HEAVEN ROAD
「なんか怪我みたいだぞ」



バタン



あたしは勢いよく部屋のドアを開け、ジャージのまま家を出た。



「カナ、その顔……」という祐樹の声は無視したまま。



あたしが約束を破ったせいで、もしかしたら萌が殴られたのかもしれない。



そう思うとやりきれない。



あたしは無我夢中で宗の家までの道を走っていた。



乱れる呼吸を整えながら、宗の家の中へと入る。



すると突然髪の毛を掴まれた。



「今日はウチに来るって言ってただろ?電話に出たの誰だよ?男といたのか?」



宗はあたしを引きずるように階段の上へと上っていく。



痛い。



痛い。




そして、いつものようにベッドの上に放り投げられた。



「萌は?」



宗の部屋を見渡しても萌の姿はない。



あたしのその言葉にニヤッと笑う宗。



「嘘……だったの?」

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