HEAVEN ROAD
「祐樹には知られたくないから、迷惑じゃなかったらここにいさせて」



「そうしろ。祐樹さんには俺から言っておく」



「言わなくても平気」



「あっ?」



立ち上がった豊は足を止め、こちらを振り返る。



「今までも無断外泊してるから。何日も家に帰れないことがあったから」



「お前……」



突然抱きしめてきた豊にあたしの頭の中は混乱する。



どうしたんだろう?



「監禁されてたってことか?」



「そんな大袈裟なことじゃない。宗の……彼の機嫌が悪いときは返してもらえなかっただけ。それと今日みたく傷が酷いときは帰りたくなかったから」



あたしの背中に回している手にギュッと力が入る。



「祐樹さんは何にも言わねぇのかよ?」



「うん」



豊の腕の力は段々と強くなっていく。



「豊、痛い……」



「悪りぃ」と言いながら勢いよくあたしの体を離し、立ち上がった。



「俺は実家に帰ってるから好きに使え。明日の朝迎えに来る」



「えっ?」



「それと絶対に家から出るなよ。何があってもドアを開けるな。わかったな」



「わかった」



「何かあったら連絡しろ」



そう言って豊は家を出て行った。

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