HEAVEN ROAD
泣き疲れたあたしはソファーに横になり、目を閉じた。



豊がいないこの部屋が物凄く寂しく感じる反面、豊の匂いに包まれていることに安心感を感じる。



宗は何してるかな?



誰も帰らないあの大きな家で一人、体を丸めながら眠っているのだろうか?



あたしは豊と宗のことを交互に考えているうちに眠りに就いた。



「おい。起きろ」



誰かの声に飛び上がるように起きるあたし。



「寝起き、良くなったんだな」



目の前には豊が……



そうだ、豊の家に泊まっていたんだ。



宗の家に泊まった時は、声をかけられたらすぐに起きなきゃいけない。



そうしないと機嫌が悪くなってしまうから……



「なんか食うか?」



「あっ……いらない」



「学校行けそうか?」



あたしは立ち上がり豊の横を通って鏡を覗く。



酷いな。



目の腫れは治っていないし、唇もぱっくりと切れている。



「行きたくないか?」



豊はあたしの後ろに立ち、鏡越しに話し掛けてくる。



「そういうわけじゃない」



「じゃあ行くぞ。学校のほうが安全だ」
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