HEAVEN ROAD
危なくこぼれそうな涙を必死に堪え、階段を駆け下りる。



そして、教室の前で深呼吸。



今は授業中だけど、生徒が出入りしても何の問題もない。



そんな学校ってどうなの?って思うけど、今日のあたしにはそれが物凄くありがたい。



あたしは教室の中に入り、宗の机を目指して足を勧める。



「宗。話がある」



「何?」



学校では比較的優しい宗。



「今いいかな?」



「いいけど、どこで話すの?」



「二人っきりで話したいから着いてきてもらえる?」



「わかった」



宗は立ち上がり、あたしの言葉に了承してくれた。



教室を出るときに、萌の姿が目に入る。



泣き腫らした目をし、あたしの事を睨んでいるように見えた。



その瞬間、足を止めて萌に話しかけたかったけど、今は宗と話をするほうが先だ。



豊が待っている。



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