HEAVEN ROAD

あたしは宗を連れ、屋上への階段を上る。



辺りを見回しても豊の姿はない。



本当に側にいてくれるんだろうか?



もうここまで着たら引き返せないのに……



前を歩く宗の背中を見ながら、バタンと音を立ててしまった屋上のドアに全身が固まる。



「話って?」



さっきとは別人のような表情の宗。



「……あ、あたし。もう限界。別れて欲しい」



「無理だよ。そんなのわかってるでしょ?」



不気味に笑う宗が怖い。



「あたしはもう宗とはいれないから。別れて」



「あいつのせいか?あいつに別れろって言われたのか?」



宗に思い切り腕を掴まれた。



怖い、怖くてたまらない。



でも、言わないと……



「豊は関係ない。宗は勘違いしてる。あたしは豊と付き合ってなんかない。浮気もしてない。彼氏は宗だけ」



「じゃあ、どうして?」



弱々しい顔の宗に胸が痛くなる。



「あたしは豊を心から消すことができなかった。でも、宗のことは大切だったよ。宗といて楽しかった。でも、あたしが豊を消せないから、宗を変えてしまった」



一気にそこまで話すと宗は掴んでいたあたしの手を離す。



「それは知ってる。それでもいいと思った。カナが誰を見てても俺はカナが好きだったから。でも………」



再びあたしの腕を両手で掴んだ宗はさっきとは違う。



「なんでだよ?!もう俺だけを見てくれてもいいだろう?!俺はこんなにも好きなんだ!!」



段々とあたしの腕に食い込んでいく宗の爪。



「カナは俺のものだ!!あいつになんか渡さない!!」



あたしの体を上下に揺すりながら叫ぶ宗。
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