HEAVEN ROAD
「どこに行くのか知らねぇけど、あたしはどこにも行かねぇ。ここにいる」



「なら仕方ない。連れていくまでだ」



そう言うと豊はあたしを担ぎ上げた。



あたしのお腹は豊の肩に食い込んで痛い。



「下ろせよ!!痛いから!!」



「黙ってろ」



あたしは足をバタバタさせて豊の体を何度も蹴ったけど、蹴るたびに豊の手に力が入る。



豊はあたしを担いだまま、玄関にあったあたしのスニーカーを持ち、祐樹が置いていった鍵で鍵を閉め、階段を降りた。



そして、車の後部座席に放り投げられるあたし。



「痛ってぇな……」



あたしはお腹を擦りながら顔をあげると、大輔さんが「大丈夫ですか?」と後ろを向いていた。



「大丈夫かな?」



あたしと大輔さんの穏やかな雰囲気を打ち壊すように、豊が助手席に乗り込んだ。



「出してくれ」と偉そうに命令しながら。

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