HEAVEN ROAD
あたしはどこに向かっているのかもわからずに、ただボーッと窓の外を見ていた。



すると突然、豊と大輔さんが会話をし出した。



「本宅でいいっすか?」



「いや。離れの方に直接行く」



「わかりました」



なんだ?なんだ?



本宅とか離れとか、お偉いさんの家にでも向かってんの?



そんな金持ちの家なんか見たこともないし。



あたしは心の中で会話に参加しながら、視線は窓の外。



「あっ」



「なんだ?」



「なんでもない」



この車は今見たことのある場所を走っている。



このでっかい家には離れまであんの?



あたしは窓にヘバリ付くように外の景色を必死に目で追っていた。

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