HEAVEN ROAD
「人が沢山いるからな。大丈夫か?」



「別に平気だけど」



離れの前で突然足を止めた豊があたしに優しい言葉なんかかけてくるから調子が狂う。



「いちゃもん付けられたら、すぐに知ってる奴に言え」



「あたし、いちゃもん付けられんのか?」



「前にかけられただろ?」



「あーあれか」



翔に連れられて、公園に行ったときだ。



怖そうなお姉さん達に絡まれたっけ。



「わかったか?」



「あぁ。わかったよ」



「じゃあ行くぞ」



本当はあんな奴等がいるなら行きたくないって言いたかったけど……



豊があたしの事を少しでも考えてくれたことが嬉しくて、気持ちが声になることはなかった。

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