HEAVEN ROAD
膝の上には赤いチェックの毛布がかけられている。



車椅子を見ると、あの日の事を鮮明に思い出す。



そして、有田は足を失ったんだと思い知らされるんだ。



「初山別って知ってるか?」



「はっ?」



「聞いたことないか?」



「ない」



「そうだな。カナは転校生だもんな」



有田は突然意味不明な話をしだした。



「俺の生まれ故郷だ」



「へぇ~」



土地の名前だったんだ。



あたしは耳にしたこともない。



「星が綺麗なところなんだ」



「ここよりか?」



「比べ物にならないな」



その土地を思い出すかのように遠くを見つめる有田。
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