HEAVEN ROAD
「そういえばさ……」



「あっ?」



盛り上がる室内であたし達の会話だけは切り取られたように聞こえてくる。



「ふみ、さんは?来てないのか?」



「来てない」



「そっか」



余計な事を聞いてしまった。



でも、彼女ならここに来るはずだと思って……



2人の間に沈黙が流れる。



苦しい。



重苦しい空気に耐えられないあたしは口を開いた。



「大晦日って走ったりしないのか?そういうイベントはやりそうなのにな」



「馬鹿か」



馬鹿とはなんだ。



あたしは必死にこの重苦しい空気を開放してやったのに。
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