HEAVEN ROAD
「佐枝子は？」



「起きなかった」



お父さんが突然口を開いたので、あたしは驚いて食べていた手を止めた。



すると豊がその声に返事をする。



突然話をするのも、単語だけ話すのも豊はお父さん譲りなんだなと思うと思わず笑ってしまいそうになる。



「あちらのご家族には迷惑じゃないのかしらね？」



お母さんが豊のほうに視線を移しながら口を開いた。



「そういうこと気にする家じゃないだろうから」



「ならいいんだけど」



お母さんは苦笑いをして豊の言葉に答えると、お父さんは突然バンっと大きな音を鳴らしてテーブルを両手で叩いた。



「良くないだろう!!あんな家の子供と付き合っているなんて、お前が甘い顔ばかりしてるから……」



お父さんはすごい剣幕でお母さんを捲くし立てる。



「もう佐枝子だって子供じゃないんだから、好きな人くらい自分で選ばせてあげましょう」



「普通の家じゃない子供と付き合っていてお前は心配じゃないのか？」



目の前で始まった言い合いに、あたしはどうすればいいのかとあたふたしていた。

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