HEAVEN ROAD
「えっ?……んっ!!」



咄嗟に大声を上げてしまったあたしの口は塞がれる。



手でしっかりと口元を押さえられたまま、あたしは二階へと引きずられるように連れて行かれた。



「ハァハァ」



部屋のドアが閉まるときつく押さえられていた手が外れる。



「てめぇ、殺す気か?!」



あたしはお重箱をテーブルの上に置き、膝に手を突きながら息を整える。



「悪りぃ。お前が叫びそうだったからよ」



悪いとは言っているけど、悪いと思っているようには見えない口調で豊は床に腰を降ろした。



「で、何であんなとこに突っ立ってたんだよ?」



「お前の声と親父の声が聞こえたから……」



「盗み聞きしてんじゃねーよ」



あたしの言葉に豊は言い返すことはしないで、上目ずかいで睨みつける。

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