HEAVEN ROAD
翔、秀……



チームのメンバーが次々と豊の前に集まってくる。



いつもだったら「カナちん。おはよう」って声をかけてくれるのに、今日は眉間にシワを寄せたまま豊をジッと見つめてる。



あたしはただならぬ雰囲気に唾をゴクリと飲み込んだ。



「豊。頼む」



ザワザワと騒がしい屋上が秀の一声で静まり返る。



「秀の女の件は知ってるな?」



豊の言葉に頷く奴等。



秀の女?ってことは明美?



「チーム内での女の取り合いは禁止。もちろん揉め事も……破った奴は追放」



豊は淡々と話し続ける。



「例外は認めねぇ。例え、それが誰であろうと……」



決め事を破った奴がチーム内に出たんだな。



それを怒っている豊。



でも、ただ怒っているって感じじゃない。



ただ真っ直ぐに前を見つめる豊の瞳には何も映っていないかのようだ。

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