HEAVEN ROAD
目の前が真っ暗になるってこういう事をいうんだ。



あたしの目の前には明美がいるはずなのに、あたしの目に明美はうつっていない。



……ってか何にも見えていない。



ただ明美の言葉が頭の中をグルグルと回っている。



「カナ?カナ?」



「……っあ。悪りぃ」



あたしの異変に気付いた明美も起き上がり話を続けた。



「それでね。カナが豊先輩と別れて、宗と付き合ったでしょ?」



「はっ?何で知ってんだよ?学校来てなかっただろうが」



「私、宗達と仲良かったから。萌や千とも」



「そう……なんだ」



久しぶりに聞く“宗”の名前。



あたしはこの響を聞くたびに、胸の辺りが苦しくなる。



「話、逸れるけど……宗は入学したときからカナの事気にしてたよ。私がカナと仲いいから、宗に話しかけられたんだもん。それでカナの事話してるうちに仲良くなった」



「……そっか」



もうこれ以上、宗のことは聞きたくない。



あたしの知らない宗の想いは聞きたくない。



「で、あたしと豊が別れたのがどうしたんだよ」



あたしは無理やり話を戻した。

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