HEAVEN ROAD
あと少しで豊の背中に触れられる距離に来て、あたしは足を止めた。



もうそれ以上近づくことが出来なかった。



豊の背中があまりにも切なくて……



小刻みに震える豊の背中がたまらなく悲しくて……



豊?



泣いてるの?



「お前の言うとおりだ」



背中を向けたまま豊が口を開いた。



あたしが帰ってきてたことに気付いていたんだ。



「俺は人の上に立つ資格はねぇ。お前の言ったとおりだ」



豊のその声は掠れて弱々しい。



「仲間一人守れねぇ」



あたしはそっと豊の背中に手を乗せた。



ビクッと反応する豊の体。



「あたしにはチームのことはわかんない」



背中に手を乗せたまま一歩ずつ豊へと近づいた。



「仲間を守れない豊は許せない。でも、それは豊だけじゃない。みんなチータを守れないんだ」



あたしはそのまま豊の背中に抱きついた。



「でも、豊はあたしを守ってくれた。これからも守ってくれるんだろう?」



あたしは豊の首に手を回し、後ろから顔を覗き込む。



「あぁ」



「それなら、あたしも守るよ。豊の事はあたしが守る。今がその時なら、あたしが豊を守ってやるよ」



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