HEAVEN ROAD
あたしの言葉にフッと鼻で笑った豊はあたしの手を掴み、勢いよく引っ張った。



あたしはあっという間に豊の前へと移動している。



胡坐をかいた足の中にあたしの体を乗せた豊は「ふざけてんのか?」と唇を少しだけ動かした。



笑ってる?



あたしのこの台詞を聞いて何でこの男は笑ってる?


いつもはこんな顔しないくせに。



もっと他にも笑うところがあっただろうが。



「あたしは大真面目だよ!!」



大声を上げるあたしを豊は優しく包み込んだ。



「お前に守ってもらわなきゃいけないほど、俺はやわじゃねぇ。でも嬉しかった」



怒りたかったけど、豊が嬉しかったなんて言うもんだから、怒りはどこかに吹き飛んでしまう。



「泣くなよ」



「泣いてねぇ」



「絶対泣いてたし」



「泣いてねぇ」



「じゃあ何で小刻みに震えてたんだよ?」



顔を上げようとするあたしの頭を豊は自分の胸に押し付ける。



「寒かったんだ」



「……っ、うっ」



「あっ?」



豊の手の力が緩んだ瞬間、あたしは思い切り顔を上げた。



「殺すきか!!息できないだろーが!!」
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