HEAVEN ROAD

そんな言葉は祐樹にはまったく通用しなくて


「どこの誰だ?」


「付き合ってたのか?」


「ここへつれて来い」


だの言葉攻めにされるあたし。



宗のことは祐樹には絶対に言いたくない。



これはあたしの問題で祐樹には関係ない。



他人からの目線で宗の事をあれこれ言われるのだけは嫌だった。



それなのに……


「祐樹さん。俺から話します。あっちでいいですか?」



豊が口を開いた。



「あっ?」



豊の言葉に祐樹の怒りの矛先は再度豊に戻っていく。



さっきよりもすごい剣幕で豊を睨みつける祐樹。



そんな視線にも豊はお構いなしで立ち上がろうとした。



「豊……」



あたしは豊の洋服の裾を思い切り掴んだ。



宗のことは……



やめて。



そう言いたかったんだけど……



「祐樹さんには話さないとダメだ。大丈夫だから」


といつもよりも優しくあたしの頭に手を乗せた豊にあたしは何も言えなくなってしまう。



あたしは何も言えないまま、カウンターの方へと歩いていく豊の背中を見つめていた。

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