HEAVEN ROAD
あんなにも頼りなかった豊の背中が、今は頼もしく見える。



さっきまで震えていたはずの豊の背中。



あたしが守ってやらなきゃいけないって思っていたはずなのに……



今はこんなにも大きく力強く、あたしを安心させてくれる。



豊の言葉やあたしの態度を見て、何かを察知したのか祐樹も大人しく豊の後ろをついて行った。



「豊は本当にカナちゃんのことが好きなんだろうな」



一人だけ落ち着いていた一志さんが口を開いた。



「えっ?」



「私、豊のあんな顔始めて見た」



佐枝子さんは独り言のようにポツリと呟く。



「あんな顔?」



「豊は昔から自分の感情を外に出さない奴だったから。出したとしても怒りをぶつけるくらいで、カナちゃんの頭を撫でたときの豊は別人のようだった」



あたしがわかるように説明してくれる一志さん。



「そうなんですか?」



「カナ。これからも豊のこと頼んだぞ」



佐枝子さんがあたしの手を握り締めた。



「えっ?うん」



よくわからないけど、返事をするあたしを見て一志さんは笑っていた。

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